すべてに責任を持てば、トラブルもチャンスにできます
何が起こってもそれは「自分の責任」として受け止め、あらゆる手を尽くしてすべてを「想定内」に収めてしまう。
執事のサーヴィス哲学は、あまりにもハードルが高いと思われる方も少なからずいるでしょう。
しかし、この意識を持つか持たないかで、お客さまに提供するサーヴィスのクオリティが明らかに変わってしまいます。
実際に、一般的になじみのある飲食、小売、旅行などのサーヴィス業でも、ハイクオリティなサーヴィスを提供しているところは、執事のサーヴィス哲学とまったく同じ行動原理で動いているものです。
たとえば、飲食店などでよく起こるトラブルに、予約内容の間違いがあります。
同じ曜日でも一週ずれていたり、18時と午後8時を間違えるといった例も多いようです。
また、予約した人数や、料理の要望などが正しく伝わっていないということもあるでしょう。
もちろん店側のミスである場合は論外ですが、じつはお客さまに落ち度があるケースも少なくありません。
とくに信用を重視する伝統やブランド力のある店ほど、基本的なミスを防ぐための従業員教育には力を入れていますし、念のため、お客さまとの通話内容を録音したり、メールの履歴を一定期間残したりするなどの仕組みを構築しています。
「ここまでやってくれるのか」と思っていただけるようにしましょう
では、お客さまとのやり取りを遡って店側のミスではないとわかったときに、どのような対応を取るでしょうか。 多くの場合、「あいにく本日は満席でして」と、ご丁寧にお引き取りいただくことが多いのではないかと思います。 一流の自負を持つ店の対応は違います。 そもそも、このようなトラブルを起こすこと自体が自分たちの非であると考えるのです。 ご予約のお電話の際に、 「18時、ということは午後6時からのご利用でございますね」 と念を押しておけば、お客さまが時間を間違えることを防げたはずです。 ご予約の前日に、「明日は18時にお待ちしております」と、確認の連絡をしておけば、お客さまの勘違いを事前に調整できたかもしれません。 それでもトラブルが起こってしまったとしても、すべては自分たちの責任であると思えば、何とかお席を用意できないか、同等ランク以上の他店を紹介できないかなど、様々な手立てを考えるはずです。 どうしてもその日は無理だとしても、直近でお席を確保し、特別なコースを用意するなど、さらに喜んでもらえそうなサーヴィスを提供することもできるでしょう。 大切なことは、希望通りのかたちにならなかったとしても、最低限、「お客さまにお食事を楽しんでいただく」という当初の目的を達成することです。 どのような困難があっても、お客さまを手ぶらで帰してはいけません。
「あいにく本日は満席でして」の一言で片付けるケースが多いなか、店側に落ち度がないにも関わらず自分の要望に向き合ってくれる店は、お客さまの印象に強く残るはずです。
「ここまでやってくれるのか」という驚きとともに、好印象を抱いてくれるかもしれません。
お客さまに対する姿勢ひとつで、トラブルでさえ相手の心をつかむチャンスになり得るのです。

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参考文献・外部リンク
- デロイト トーマツ(2025)「国内富裕層意識・購買行動調査」
- 博報堂(2025)「新富裕層調査2025」
- Heskett, J.L. et al. (1994). Harvard Business Review
- 新井直之(2017)『執事が教える至高のおもてなし』
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