公私混同します
一般に、「効率的に仕事をするなら、オンとオフの切り替えをはっきりさせたほうがいい」といわれます。
しかし、サーヴィス業に、それはあてはまりません。
一流のサーヴィスパーソンを知るとよくわかります。
彼らは公私を区別せず、常におもてなしの心を持って行動しています。
公私を区別せず、おもてなしの心をいつも大切にしているのは私たち執事も同じです。
言動ひとつとっても、プライベートだからといって乱暴な言葉を使ったり、横柄な態度をとることはありません。
いつ、どんなときも、丁寧な言葉遣いと柔らかい物腰を心がけています。
相手によって態度を変えることもありません。
お客さまと話すときも、執事どうしで話すときにも、言葉遣いと態度は常に同じです。
以前、知り合いがあるレストランに出かけたときのことです。
お客さまの前では優しそうだったシェフが、厨房に入るやいなや接客係の女性の名前を呼び捨てにして、乱暴な言葉で怒鳴りつけたのが聞こえてきたそうです。
「私たちには優しそうに話していたシェフが、あんな言葉遣いでスタッフを叱りつけるなんて。料理は悪くなかったけど、居心地は最悪だったよ」
そういって、知り合いはそのレストランに行かなくなってしまいました。
このように、誰に見られているかわかりませんから、いつ誰に見られてもいいような言動、態度を心がけることが大切です。
仕事中も、部下は呼び捨てにせず、「さん」づけで呼びかける。
何かミスがあっても、相手を侮辱したり、なじったりしない。
それが一流のサーヴィスパーソンを目指す、私たち執事の基本です。
「いかにもリゾート」という服装はしません
言動と同じように、私たち執事は外見も「いつ、どこで誰に会っても恥ずかしくない恰好」を心がけています。 外出時の服装はスーツが基本です。休日も大勢の人が行きかう都心部に出かけるときはスーツを着用します。 家族で避暑地に行くときも、Tシャツに半ズボン、ビーチサンダルというような、リゾートファッションは選びません。 どんなにリラックスできる場所でも、襟つきのポロシャツと長ズボンのコーディネイトを選び、靴下も必ず着用します。 私の場合、むしろラフな服装でいることのほうが落ち着きません。 さすがに家ではスーツは着ませんが、病気でもない限り、パジャマで一日過ごすようなことはしません。 「人は見た目が9割」という言葉もありますが、外見にはその人の印象をガラリと変える力があります。 たとえばお店の店長クラスでも、制服があるからとラフな服装で通勤している人は多いと思いますが、もしも、おもてなしのレベルを上げたいと思うなら、通勤時の服装を変えてみてください。 周囲の視線はもちろん、なによりスタッフの見る目が変わります。 それまで、「フレンドリーだけど頼りない店長」と思われていた人も、スーツで通勤し、丁寧な言葉を使うだけで、「最近の店長は、きちんとしていて頼りになる」と評価が一変するでしょう。 よくよく考えると、オンとオフで言動や服装を切り替えるという発想が、そもそも無意味なのかもしれません。 私たちがサーヴィスを提供している大富豪は、自宅で家族と一緒に過ごしていても、頭のなかでは四六時中、仕事のことを考えていると、みなさま口をそろえていいます。 大富豪の成功は、仕事に完璧を求め妥協を許さないというこだわりの上に成り立っているのです。 人間は本来、2つの姿を使い分けられるほど器用ではないので、目指す目標があるなら、偏っているといわれても「あるべき姿の自分」を思い浮かべ、その姿こだわってほしいと思います。
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参考文献・外部リンク
- デロイト トーマツ(2025)「国内富裕層意識・購買行動調査」
- 博報堂(2025)「新富裕層調査2025」
- Heskett, J.L. et al. (1994). Harvard Business Review
- 新井直之(2017)『執事が教える至高のおもてなし』
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