おもてなし ・ ホスピタリティの哲学 おもてなし 5分の朝礼がサーヴィスマインドを引き上げます         近年、企業ではモチベーション向上の観点から朝礼が見直されつつあります。   私の会社でも仕事を円滑に進めるとともに、サーヴィスマインドを高め、おもてなしのレベルを向上することを目的として、毎朝必ず朝礼を実施しています。   執事の朝礼は次の5つのステップで進められます。  
  1. 理念とクレドの唱和
  2. 情報伝達
  3. 本日の目標を発表する
  4. 全員が全員をほめ合う
  5. 円陣を組み意気込みを叫ぶ
私の会社の場合、参加者が10名に満たないこともあり、1から5まで5つのプログラムを5分間で実施します。   参加者が10名以上の場合は、10~15分程度が開催時間の目安です。   それ以上時間がかかると参加者の集中力が落ち、モチベーションにも悪影響を及ぼすことも考えられるので、コンパクトな開催を心がけてほしいと思います。   参加者がさらに多い場合は、チームや課など小グループごとに実施することをおすすめします。   続いて5つのステップを詳しく説明しましょう。   ① 理念とクレドの唱和   クレドとは、「志」「信条」「約束」を意味するラテン語で、企業の信条や行動指針を示す言葉として使われています。   私の会社には「家族同様の献身的なサーヴィスを提供する」という理念があるので、これを毎朝、最初に唱和しています。   「理念とクレドの唱和」には、2つのメリットがあります。   一つは「仕事モードへの切り替え」です。   「出勤してすぐは仕事モードにならない」という人は少なくありませんが、だからといって、そんな感情を抱えたままではお客さまに要望に応えることはできません。   そこで「オフ」「オン」を朝礼の場で切り替えるのです。   もう一つは「初心に返る」という効果です。   仕事に慣れてくると初心を忘れてしまうものですが、毎朝、理念やクレドの唱和を繰り返すことにより、仕事に迷いが生じたときなどに、スムーズに初心に立ち返ることができるようになります。   ② 情報伝達   私の会社の場合、その日のお客さまの予定、お客さまの来客情報、天候、温度、業務オペレーションなど様々な関連情報を伝達するほか、好みやクセなど、お客さまの個人的な情報も共有します。   こうした情報をもとに、一人ひとりがどのように動けば、よりよいサーヴィスが提供できるのかをシュミレーションし、サポートし合える体制を整えるのです。仕事を進めるうえで問題があれば、その場で話し合います。   ③ 本日の目標を発表する   緊張感を持って仕事に取り組むために重要なのが目標設定です。   私の会社では、まず、その日の勤務時間内の目標を一人ずつ発表してもらいます。   目標は「今日は少なくとも2組のお客さまに『ありがとう』といわれるように接客をします」「お客さまから料理の催促をされないようにします」というように、小さなことで構わないというルールです。   ポイントは、目標達成のサポートを発表者以外の人に申し出てもらうということ。   仲間の協力を得られることで発表者にはやる気が出ますし、やる気がない場合も、やらざるを得なくなるという狙いもあります。   ④ 全員が全員をほめ合う   他画他賛がサーヴィスマインドを向上させることはすでに説明しましたが、私の会社では朝礼で仲間どうしのほめ合いを実施しています。   人はほめられると自己承認欲求が満たされ、気分がよくなります。   この心理的メカニズムを利用して仕事へのモチベーションを高めるのです。   ただし、毎日仲間をほめるとなると、その内容にも工夫が必要です。   「○○さん、髪を切って、さわやかになりましたね」「○○さん、今日のネクタイ、いまの季節にぴったりですね」というように外見の変化をほめたり、「○○さん、昨日の受け答えは見事でしたね」と仕事で気づいたことをほめるなど、相手をよく観察ことが必要になります。   したがって、毎日ほめ合いをすることは、相手をよく知ろうとすることにもつながります。   相手をよく知ることはサーヴィス業に欠かせないスキルなので、このプログラムを実施する意味は大きいといえます。   ⑤ 円陣を組み意気込みを叫ぶ   大手ハンバーガーチェーンの売上優秀店舗は、開店前に円陣を組み一体感を高めるといいますが、私の会社の朝礼でもラグビーのキックオフ前のように円陣を組み、「今日は○○さんのためにがんばるぞ!」「おー!」と気勢を上げます。   円陣を組むと、必ず勝つ、必ず成功させるという志気、団結力が高まります。   実際のところ、接客サーヴィスで一人ひとりができることは限られています。   しかし、仲間どうしでサポートし合うことにより、充実した接客サーヴィスを提供できるようになります。   そこでチームでの仕事を意識し、志気や団結力を高めて仕事に臨むために、このようなプログラムが必要になのです。   円陣を組んだり手を重ね合わせたりすると、異性同士で手や肩や手が触れ合うので、照れ笑いを見せる執事やメイドもいるのですが、じつはそこにも狙いがあります。   お客さまと接する現場に出ていく前にリラックスすることで、笑顔で仕事をスタートさせられるからです。   チームワークの醸成に加え、自然な笑顔でのおもてなしを準備することが、このプログラムの目的というわけです。  
5つのステップの順番も大切です
  これら5つのステップは、どこからでもやればいいというものではありません。その順番が大切です。   まず「唱和」で気分を切り替えて仕事モードになってもらい、そこから「情報伝達」を実施すれば、無意識にしっかり情報を聞くようになります。   次に、情報を頭に入れれば、その日の目標をしっかり設定できます。   その後お互いに「ありがとう」とほめ合って意欲を高め、最後に円陣を組んで気勢を上げて、笑顔で現場に向かうというのが、執事の朝礼のシナリオです。   注意してほしいのは、前日の反省や注意を朝礼に織り込まないことです。   「昨日はお客さまから○件クレームもらった」「昨日、これができていなかったのはなぜか」といった上司の叱責から一日がはじまったのでは、サーヴィスマインドは高まりません。   お客さまへのおもてなしにも悪影響を及ぼすことでしょう。  
執事が教える 至高のおもてなし―心をつかむ「サーヴィス」の極意
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記事執筆者・監修者

新井 直之
(NAOYUKI ARAI)

執事
日本バトラー&コンシェルジュ株式会社 代表取締役社長
一般社団法人 日本執事協会 代表理事
一般社団法人 日本執事協会 附属 日本執事学校 校長

大富豪、超富裕向け執事・コンシェルジュ・ハウスメイドサービスを提供する日本バトラー&コンシェルジュ株式会社を2008年に創業し、現在に至る。

執事としての長年の経験と知見を元に、富裕層ビジネス、おもてなし、ホスピタリティに関する研修・講演・コンサルティングを企業向けに提供している。

代表著作『執事が教える至高のおもてなし』『執事だけが知っている世界の大富豪58の習慣』。日本国内、海外での翻訳版を含めて約20冊の著作、刊行累計50万部を超える。

各ビジネス関連メディアにてインタビュー・寄稿記事を連載中。
日経ビジネス電子版
ダイヤモンドオンライン
プレジデントオンライン
東洋経済オンライン
現代ビジネス

本物執事の新井直之

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