「裏切られた」と嘆く前に。
リーダーが知るべき、善人を悪人に
変えてしまう「甘い信頼」の罪

「彼に限ってそんなことはない」
「長年の付き合いだから大丈夫だ」

経営者や富裕層の方々から、よく聞く言葉です。
しかし、詐欺被害に遭うのは、いつもこの言葉を口にする人たちです。
そして被害に遭った後、彼らは一様にこう言います。「裏切られた」と。

私は問いたい。
本当に、悪いのは騙した相手だけでしょうか?
無防備に信頼し、チェックを怠り、魔が差す隙を与えた側に責任はないのでしょうか。
今回は、人を信じることの「重み」と、リーダーが持つべき「健全な猜疑心」についてお話しします。

無防備な信頼は
犯罪の「共犯」である

人間は弱いです。
どんなに誠実な営業マンでも、親の介護費用が必要になったり、借金で首が回らなくなったりすれば、正常な判断を失います。
そんな時、目の前に「絶対に自分を疑わない顧客」がいて、「ノーチェックで送金してくれる環境」があったらどうなるか。

「少しだけ借りて、すぐ返せばいい」
そうやって、最初の一線を越えてしまうのです。
もし、あなたが厳格なチェック体制を持っていれば、彼は一線を越えずに済み、犯罪者にならずに済んだかもしれません。
あなたの「甘い信頼」が、彼を犯罪者に仕立て上げたとも言えるのです。
人を守るためには、人を信じきってはいけません。

「信頼」とは、
ノーチェックで通すことではない。
厳格にチェックしても
揺るがない関係のことだ。

Arai Naoyuki Philosophy

リーダーは「孤独な門番」であれ

富裕層やリーダーは、常に狙われています。
寄ってくる人間は、あなたの資産や権力を利用しようとしているかもしれない。
そう疑い続けることは、精神的にタフな作業です。
「みんなを信じたい」「いい人でいたい」という誘惑に駆られることもあるでしょう。

しかし、あなたには守るべきものがあります。
会社、従業員、家族、そして先祖から受け継いだ資産。
これらを守るためには、心を鬼にして「門番」にならなければなりません。
「その話、エビデンスはあるのか?」「なぜ個人口座なんだ?」
嫌われる勇気を持って問い詰めること。
その孤独な強さこそが、リーダーの条件です。

カモにされるリーダー

・性善説ですべてを判断する
・「任せる」と言って丸投げする
・細かい確認を「面倒」と言う
・騙されたら「運が悪かった」と嘆く

守り抜くリーダー

・性悪説で仕組みを作る
・「任せて、任さず」で監視する
・細かい違和感を絶対に見逃さない
・騙される隙を見せない

まとめ

投資に「絶対」はありません。
しかし、詐欺には「絶対」があります。
それは、「個人口座に振り込ませる投資は、絶対に詐欺である」ということです。

信頼は「感情」でするな。
「理性」と「仕組み」でせよ。

今日から、あなたに関わる全ての取引を、もう一度冷静な目で見直してみてください。
そこに「担当者への情」という不純物が混じっていないか。
その確認作業こそが、あなたの未来を守る最強の盾となるはずです。

記事執筆者・監修者

新井 直之
(NAOYUKI ARAI)

執事
日本バトラー&コンシェルジュ株式会社 代表取締役社長
一般社団法人 日本執事協会 代表理事
一般社団法人 日本執事協会 附属 日本執事学校 校長

大富豪、超富裕向け執事・コンシェルジュ・ハウスメイドサービスを提供する日本バトラー&コンシェルジュ株式会社を2008年に創業し、現在に至る。

執事としての長年の経験と知見を元に、富裕層ビジネス、おもてなし、ホスピタリティに関する研修・講演・コンサルティングを企業向けに提供している。

代表著作『執事が教える至高のおもてなし』『執事だけが知っている世界の大富豪58の習慣』。日本国内、海外での翻訳版を含めて約20冊の著作、刊行累計50万部を超える。

本物執事の新井直之
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