富裕層はAIをどう見ているか ― 執事が現場で聞いた本音と建前
新井直之 / 日本バトラー&コンシェルジュ株式会社 代表取締役
富裕層がAIに興味を持ち始めた転換点
3年ほど前から、富裕層のお客様のAIへの関心が急速に高まりました。きっかけはChatGPTの登場です。
「あれは便利だね」という感想から始まり、次第に「私のビジネスにどう使えるか」「投資対象として有望か」という実践的な関心へと変化していきました。
興味深いのは、富裕層の中でもAIへの関心度と理解度に大きな差があることです。テクノロジー系の事業を持つ方は深く研究しており、伝統的な産業の方は距離を置くケースが多い傾向があります。
「建前」:富裕層がAIについて語ること
公的な場や初対面の会話で富裕層が語るAI観は、おおよそ次のようなものです。「AIは便利なツールだが、最終判断は人間がする」「個人情報の扱いは慎重に」「まだ過渡期だから様子を見ている」
これらは理性的で慎重な意見です。しかし、信頼関係が深まった後に聞ける「本音」は、少し異なります。
「本音」:執事にだけ打ち明けられた言葉
信頼関係のある方々から伺った本音をいくつかお伝えします。
「実は毎日AIを使っている。でも周りには言わない。なんとなく、使っていることを知られたくない」
「AIに相談した方が、人間に相談するより気を使わなくていいから楽だ」
「私の会社でAIを大規模に導入しているが、現場のスタッフには言っていない。反発が怖いから」
「AIが自分より賢くなる日が来たら、どうすればいいのかと、夜中に考えることがある」
これらの言葉は、富裕層が「AI」という変化に、表向きとは異なる複雑な感情を持っていることを示しています。
富裕層の本音が示す、AI時代のサービスの方向性
これらの本音から、AI時代のサービス設計に重要な示唆が得られます。
第一に、富裕層はAIへの依存度が高まっているにもかかわらず、「AIに頼っている」と見られることへの抵抗感を持つ方が多い。サービス提供側は、AIの活用を感じさせない形で、AIの恩恵を届けることが求められます。
第二に、AIの普及に対する不安と期待が混在している。「変化への適応をサポートする」視点を持つことが、AI時代の執事・コンシェルジュに求められます。
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